さもない日々の暮らしの中で ・・・  danslavie.exblog.jp

さもない日常の中で、出合ったこと、気になること、感じたこと・・・。


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釈迦内柩唄(しゃかないひつぎうた)

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 昨夕、吹田メイシアターに於いて、作家の水上勉さんの作品である、戯曲「釈迦内柩唄」(しゃかないひつぎうた)を観劇した。
 希望舞台の大阪府下公演の日程では午後7時開演となっていたのに、当日券を求めるために、早めに会場に着いたら、6時30分開演といわれた。不思議に思っていたら、何と、この日の公演は吹田市仏教会、65周年記念事業の一環としての公演だった。10月6日の大阪市内のドーンセンターでの公演に誘われていたのだけれど、生憎、久留米から帰阪する日だったので、一番近場の吹田市文化会館(メイシアター)で観劇することに・・・。劇の前に30分の仏教の式典がオマケ(失礼!)がついていた。別に式典に参加したいとも思わなかったし、場内ではほとんどの人が檀家の人たちらしく、オバサン連中のうるさいこと。いくら始まる前とはいえ、場所をわきまえてほしい!と思い、それもあって、しばしロビーで待つことに。
 午後7時を大幅に過ぎて、(式典の状態から演劇の舞台装置にするのに手間取ったらしい)やっと、お目当ての劇が始まった。随所でけたたましく笑う後ろのオバサンたち(そんなに笑うところじゃないやろ!と心の中で睨む)が少々迷惑だったけれど、舞台に吸い込まれる思いだった。
 一幕三場の舞台では、一場と二場でほとんど一人芝居のような主人公の薮内ふじ子役の有馬理恵さん(俳優座)の迫真の演技が心を揺さぶる。

 「釈迦内柩唄」
 釈迦内とは、秋田県にある地名である。村はずれの火葬場を生業とする一家。母を亡くし、今また父を亡くした三女、ふじ子の現在と回想を織り交ぜて劇は進行していく。父親は死ねばみんないっしょ。死人に貴賎はないと云っていたが、世間からは〝穏亡〟(おんぼう)と忌み嫌われていた。長女が何度も結婚と離婚を繰り返し、次女が独身でスナック勤めをしているのは、娘たちの実家の生業を知った恋人や連れ合いが彼女たちから離れていったためだと、ふじ子は今更ながらに知ることになる。太平洋末期に、ふじ子が小学生のとき、近くの花岡鉱山で強制労働をさせられていた朝鮮人が逃げてきた。誰も尋ねてくれる人がいないという家族は、山道を迷って灯りを頼りに一家の戸口にたった朝鮮人の彼を温かく迎え入れ、もてなすが、やがて、憲兵隊に捕まり殺される。憲兵は内密に朝鮮人を火葬にするように父親に命令するが、父親は頑として断る。「火葬許可証がなければ焼くことはできない」と。差別と非道に憤る父親の抗いである。父親を軍に連れて行こうとする憲兵に「私が火葬にします」と申し出る母親。悲しみをこらえながら、気丈にそういう母親は、夫と娘たちを守るために他ならない。不自由な足を引きずって炉の中の火をかき回している姿がせつない。
穏亡と差別されてきた生業を持つ一家、朝鮮人と差別されてきた逃亡者、つかの間の心のふれあいが観るものの心に暗く重たい課題をつきつける。

「釈迦内柩唄」希望舞台のこれからの公演日程
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by CK_centaurea | 2006-10-17 23:49 | 映画・DVD・TV・演劇